運送業の働き方改革による影響とは?
企業が取り組むべき対策
2023.08.31
運送働き方改革
近年では、運送業において主な働き手となるトラックドライバーの確保が課題となっています。また、2024年4月以降は運送業でも時間外労働の上限が適用されるようになるため、ドライバーの移動距離が制限されるなど、運送業務への影響を避けられません。
本記事では、そんな運送業の経営課題にお悩みの管理職や経営者層の皆様へ向けて、働き方改革で企業が取り組むべき対策を解説します。ぜひ参考にお読みください。
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運送業の2024年問題とは?
「運送業の2024年問題」とは、労働基準法の改正にともない、2024年4月1日から運送業にも時間外労働の上限が適用され、物流業界が直面するとされている社会問題の総称です。
国内では、働き方改革の一環として労働基準法の改正が行われました。法改正後は、長時間労働が常態化する労働環境の改善へ向けて、新たに時間外労働の上限が規定されています。時間外労働の上限は、2019年4月から適用されていますが、運送業(=自動車運転の業務)を含む一部の事業・業務では、5年間の猶予が設けられていました。こうした背景から、2024年4月からは運送業でも法律により時間外労働の上限が適用されることになります。
猶予後の変更点として、時間外労働の上限時間が原則として月45時間・年360時間となり、特別な事情がある場合でも年960時間に制限されます。これにともない、ドライバーの労働時間および拘束時間が少なくなり、移動距離が制限されるため、運送業務に支障が生じると考えられているのです。「運送業の2024年問題」によって、運送業者の売上減少や利益減少、残業代の削減にともなうドライバーの収入減少、さらには収入減少によるドライバーの離職の増加などが懸念されています。
【出典】運送事業者の皆様へ準備は進んでいますか?(厚生労働省)
https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/000970586.pdf
https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/000970586.pdf
運送業の働き方改革が注目されている背景
近年では多くの運送業者で、働き方改革実現へ向けた取り組みが始まっています。ここでは、なぜ多くの運送業者で働き方改革が注目されているのか、その背景を解説します。
同一労働同一賃金の対応
「同一労働同一賃金」とは、同じ業務に従事する社員に対して同一の賃金を支払うという考え方です。正社員と非正規雇用労働者(短時間労働者・有期雇用労働者など)の雇用形態の違いによる不合理な格差を解消する目的から、働き方改革関連法では労働者の待遇差が禁止されています。多くの運送業者では、非正規雇用の労働者が働いていることから、雇用形態による待遇差が生じないよう注意が必要です。同一労働同一賃金の導入へ向けて、運送業でも現状の就業規則や賃金体系を見直す動きが始まっています。
【出典】同一労働同一賃金特集ページ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
月60時間超の時間外労働の割増賃金引き上げ
2023年4月より、労働基準法における時間外労働の割増賃金率が、大企業・中小企業ともに5割増しとなります。そもそも割増賃金とは、「時間外手当(残業手当)」「休日手当」「深夜手当」のことです。このうち時間外手当に関して、社員が1カ月に60時間を超える残業をした場合、企業は50%以上の割増率で時間外手当を支払わなければなりません。改正前の法律では、中小企業における残業時間60時間超の割増賃金率は25%以上でした。2023年4月以降は、事業規模を問わず50%以上となることから、中小企業では人件費が上がる可能性が考えられます。運送業においても、時間外労働の削減を検討する企業が多くなっています。
【出典】しっかりマスター労働基準法 割増賃金編(東京労働局)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf
人材不足の深刻化
運送業では、長時間労働の常態化や社会の少子高齢化にともない、ドライバーの労働力不足の傾向が続いています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」のデータによると、令和4年6月の貨物自動車運転者の有効人口倍率は2.01倍でした。それに対して、全職業の有効人口倍率は1.09倍であり、貨物自動車運転者が全職業の2倍近くに相当することがわかります。貨物自動車運転者の有効人口倍率は、令和2年12月に3.04倍にまで達して以降、やや落ち着きを見せました。しかし、全職業と比較すると常に倍率が高い傾向にあり、運送業の深刻な人材不足の現状がうかがえます。多くの企業が人材確保の対応策を検討している状況です。
【出典】トラック運送業界の2024年問題について(全日本トラック協会)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001517490.pdf
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001517490.pdf
運送業の働き方改革で取り組むべきこと
運送業の経営改善では、多様な働き方の実現や慢性的なドライバー不足の解決を目指して、働き方改革に取り組むことが大切です。運送業の働き方改革で取り組むべき施策や、ポイントをお伝えします。
労働生産性の向上
限りある人材を有効活用するためにも、まずは一人ひとりの労働生産性を向上させることが大切です。具体的な施策として、荷役のパレット化やアシスト機器の活用などが挙げられます。また、トラック予約受付システムを導入することで効率化が推進されると、荷待ち時間や荷役時間の削減が可能です。さらに、配達完了後にKYOCERA Capture Managerを用いて受領書を電子化すれば指定のフォルダーに自動で仕分けがされ管理ができる為、以降の伝票検索などの工数も減らせます。 ほかにも、運行が長距離かつ長時間におよぶ場合は、高速道路のSA・PAなどでドライバーの交代を行う中継輸送もご検討ください。
多様な人材の確保・育成
ドライバー不足の問題を解決するには、従業員が働きやすい職場環境を作り、人材確保につなげる施策が求められます。現状の労働条件を見直し、柔軟に働きやすい職場づくりに努める施策も有効です。例えば、週休2日制の導入による待遇改善、女性や高齢者が働きやすい職場づくりなどの工夫により、多様な働き手を確保しやすくなります。また、免許・資格取得の支援強化など、人材育成制度を整備する施策もご検討ください。
【出典】自動車運送事業の働き方改革について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001220623.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001220623.pdf
ITツール導入による業務効率化
勤怠管理システムなどのITツールの導入により、業務上の無駄を減らすと、効率的に作業を進めやすくなります。例えば、セーフティーレコーダー(ドライブレコーダーとデジタルタコグラフの機能)を全車に導入することで、デジタルタコグラフで運行日報が自動化され、勤怠管理の効率化を図れます。またKyocera Cloud Print and Scanを使用すれば、複合機からクラウドストレージに直接アクセスし、PCを使わずに指定のファイルを印刷することが可能な為、ドライバー自身が運送指示書を簡単に入手できるようになり、管理者が手渡しする手間も省けます。 無駄な作業を削減し、業務効率化を推進すると、時間外労働の削減にもつながるのがメリットです。
【出典】働き方改革特設サイトCASE STUDY中小企業の取り組み事例(厚生労働省)
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/
配車システムの導入
近年はネットショッピングの普及にともない物流量が高まり、さらには荷主による荷物の時間指定が増加したことで、輸送効率が低下しやすくなっています。輸送効率を向上させるには、車両の運行管理を徹底することもポイントです。例えば、配車システムを導入すれば、手動によるドライバーの割り当て作業を自動化できるだけでなく、車両の運行経路や配送計画が最適化され、コスト削減が期待できます。
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ここまで、運送業が直面する2024年問題や、企業が働き方改革で取り組むべきことを解説しました。運送業におけるビジネス課題の改善アイデアでお悩みの際は、京セラドキュメントソリューションズが解決策をご提案いたします。こちらのダウンロード資料では、運送業によくある課題を解決へと導くソリューションをご紹介しています。運送業の具体的な事例ごとに解決までの流れをご覧いただけるため、ぜひ働き方改革の実現へお役立てください。
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