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電子取引の保存要件を満たすには?
詳しい内容とよくある質問

2022.5.31

法制度対応

電子取引の保存要件を満たすには?詳しい内容とよくある質問
2022年(令和4年)1月、電子帳簿保存法が改正されました。改正後の電子帳簿保存法では「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに関する決まりが定められています。中でも電子取引については一部義務化される項目もあり、多くの企業にとって関係がある法律です。本記事では、電子帳簿保存法における電子取引の保存要件を満たすために押さえておきたいポイントを解説します。企業のご担当者様は、ぜひ参考にお読みください。

目次

電子取引の概要

電子帳簿保存法の対象となる「電子取引」には、具体的にどのような書類が該当するのでしょうか。制度の改正に対応するために、電子取引の概要を確認します。
【2022年】電子帳簿保存法の主な改正点

電子取引に該当するもの

電子取引とは、PDFや専用のWebシステム、EDI取引などで電子データをやり取りする行為のことです。企業が請求書・契約書・見積書・注文書などの取引関係書類を電子データでやり取りした場合、ほとんどが電子取引に該当します。取引先から受け取ったデータだけでなく、送信したデータについても保存が必要となります。以下に箇条書きした項目は、ビジネスシーンにおける電子取引の例です。まずは自社の電子データ授受の状況をご確認ください。

・電子メールに添付されているデータ(PDFファイルなど)
・Webサイトやシステムからダウンロードしたデータ
・Webサイトやシステムの画面のスクリーンショット
・クラウドサービスにアップロードされている取引の情報
・EDIシステムを用いて発行した取引データ
・複合機のペーパーレス機能を用いて発行した取引データ
・取引データを保存したDVDディスク、USBメモリーなどの記録媒体


電子帳簿保存法改正に伴う影響

改正後の電子帳簿保存法では、電子データで受け取った電子取引書類を電子データ(電磁的記録)のままで保存することが義務化されます。その際、プリントアウトした書面の保存では認められない点に注意が必要です。この保存方法に関するルールは全ての事業者に適用されます。電子データの保存に対応できる社内体制をご準備ください。なお、データ保存の義務化は2023年12月まで宥恕(ゆうじょ)期間が設けられています。保存義務を果たすために、速やかに体制の整備をご検討ください。

電子取引の保存要件

改正後の電子帳簿保存法における、電子取引の保存要件について解説します。各企業に求められる措置にも触れるため、社内体制を整備する際の参考にしてみてください。
電子取引の保存要件

真実性の要件

電子取引では、保存しているデータが不正に書き換えできないようにする仕組みを設けることが必要です。真実性の要件を満たすには、自社もしくは取引先でタイムスタンプを付与する対策が有効とされます。また、修正や削除の履歴が残るシステム、もしくは訂正や削除ができないシステムでデータを管理する方法もあります。運用のしやすさを考慮すると、JIIMA認証を受けたソフトを導入するのが理想的です。JIIMA認証とは、電子取引の要件を満たしているソフトに対して付与される認証のことです。公益社団法人日本文書情報マネジメント協会により承認され、導入するシステムを検討する際の目安となります。

可視性の要件

可視性の要件を満たすために、社内で保存しているデータを検索・表示できる状態を維持するよう求められます。具体的には、電子データをPCやディスプレイですぐに閲覧できること、プリンターや複合機を備えて電子保存したデータを印刷できる状態にすることなどです。その際は、あわせて管理するデータが検索できる体制を確保することになります。特定の保管場所にデータをそのまま格納しているだけでは要件を満たせない点にご注意ください。基本的に、以下の1~3の要件を満たす必要があります。

1.「日付」「取引先」「取引金額」の3項目でデータが検索できる
2.「日付」と「取引金額」は範囲指定検索ができる
3.いずれか2つ以上の項目を組み合わせた検索ができる

なお、上記2と3に関しては、税務職員によるダウンロードの求めに応じられるのであれば満たしていなくても良いとされています。データを検索できるようにするには、電子データのファイルに「日付」「取引先」「取引金額」が含まれる名前を付けることでも対応が可能です。その際は「20220501_◯◯株式会社_1,000,000.pdf」といった形式を適用すれば、検索性を確保しやすくなります。

 
 

運用の要件

社内のデータを適切に管理できるよう規程を定めます。規程では、対象となるデータを明らかにするとともに、組織の運用体制や責任者の権限までを内容に含めます。不正な訂正や削除を防止する事務処理規程を定め、かつ規程に沿って運用することが重要です。自社の規程を定めると、業務上でデータが正しく管理されている証明にもなります。

 
 

電子取引の保存要件を満たすためにすべきこと

電子取引の保存要件を満たす上で、企業が取り組むべきことをご紹介します。電子帳簿保存法の改正に対応できるよう、以下のポイントをご確認ください。
電子取引の保存要件を満たすためにすべきこと

対象範囲の確定と棚卸し

初めに、電子取引に該当するデータが社内にどれくらいあるかを把握するために、棚卸しを行います。その際は、電子取引の対象であるにもかかわらず紙で保存されている情報がないかも調べておくと安心です。どのデータが対象となるのかわからない場合は、税理士などの専門家に意見を求め、対応方法を確認してください。

 

社内ルールの整備

書類や帳票を電子化することで、業務の社内フローが変わるおそれがあります。例えば、経理業務で用いる会計システム上の対応が変わったり、多くの社員にかかわる経費精算で添付書類のルールが変更となったりすることも。電子化によって起こり得るリスクについても把握しておく必要があります。どのようなトラブルが想定されるか、ルールの見直しは必要になるかなどの観点から検討することが重要です。

 

環境の整備

次に、現在のワークフローでの保存方法が要件を満たしているかを確かめます。多数の書類を電子化して管理することになる場合は保存方法を見直し、新たに専用のシステムを導入するのが一般的です。手作業で規程通りに全てのファイルをリネームするのは時間がかかる上、作業が煩雑になりやすいといえます。自社の状況や目的に合った製品をお選びください。

 

社内規程の設定

データ保存の環境を整備したら、保存要件を満たすための社内規程を定め、社員に認知させます。規程には電子取引の対象範囲や管理責任者、やむを得ず訂正削除を行う場合の手続きなどを記載します。社内で定めるべき規程のフォーマットは国税庁のホームページに記載されていますのでサンプルをご覧になって参考にしてください。デジタル化に伴い紙で管理していた書類を電子化すると、社内業務のフローが変わるケースも。電子化に伴うリスクも把握することが大切です。

【出典】「参考資料(各種規程等のサンプル)」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

 

電子取引の保存要件に関するよくある質問

最後に、電子帳簿保存法の保存要件に関するよくある質問について解説します。既存の取引やシステムの状況に応じて、適切な対応をご検討ください。
電子取引の保存要件に関するよくある質問

メールで取引している場合はメールの保存も必要ですか?

取引情報が添付のPDFファイルなどに記載されている場合は添付ファイルのみ保存が必要で、メールの保存は不要です。一方で、メールの本文に金額などの情報が記載されている場合にはメールの保存が必要となります。電子取引において保存すべきなのは「取引内容が記載されている」情報であり、全てのメールが該当するわけではありません。

 

電子データを保存するだけではいけないのでしょうか?

電子データをただ保管しているだけでは保存要件を満たすことにならない点にご注意ください。データの訂正や削除を不可にするか、もしくは履歴が残る仕組みの設置が求められます。また、検索機能や検索項目などを備え、データを検索可能な状態にすることも必要です。2024年1月からの保存要件の義務化に備えて、保存状況をご確認ください。

 

ダウンロードできないデータはどう保存すべきでしょうか?

ITシステム内にダウンロードの仕組みがない場合は、画面のスクリーンショットの保存で対応が可能です。例えば、キャッシュレス決済では各事業者から発行される利用明細が領収書の代わりになります。しかし、明細をPDFファイルなどの形式でダウンロードできないケースも少なくありません。その際は要件に沿ってスクリーンショットを保存すれば問題ありません。

 

データのバックアップは必須ですか?

データのバックアップは電子帳簿保存法の保存要件には含まれていないため、必ずしも用意する必要はないとされています。ただし、業務のペーパーレス化に際して各企業でのリスク対策が求められます。万が一保存したデータが破損すると、紙と違って一度に大量の情報が消失するおそれがあることなどが理由です。保存要件にかかわらず、リスクに備えて体制を整備しておくと安心です。

 

電子取引の保存要件を満たす運用へ向けて取り組みを始めましょう

今回は、改正電子帳簿保存法における電子取引の保存要件を満たすために、企業のご担当者様が押さえておきたいポイントを解説しました。場合によっては運用にあたり既存の社内体制の見直しも必要となってきます。保存要件への対応に関するお悩みは、京セラドキュメントソリューションズへおまかせください。当社では各種ソリューションを提供しており、電子取引の保存要件を満たす体制を社内に導入することが可能です。電子化対応の準備はもちろん、データ管理を有効活用した運用方法の提案もいたします。ぜひ以下より詳細をご確認ください。

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