建設業の業務改善を進める方法は?業界の抱える課題や施策のポイント
2023.10.10
建設業務改善
働き方改革が推進される昨今、建設業界も企業規模を問わず労働環境の改善に迫られています。長時間労働や人材不足の解消は急務であるものの、ひとつの現場に複数の事業者が参加する特殊な生産体制や業界特有の慣習を劇的に変化させるのは簡単ではなく、業務改善の妨げになっているという報告も少なくありません。
本記事では、建設業における業務改善の必要性や解決すべき課題、業務改善の進め方について解説します。業務改善に取り組む際の注意点もご紹介するので、情報収集中のご担当者様はぜひご確認ください。
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建設業で業務改善が求められている背景
長時間労働が常態化している建設業ですが、なぜ今になって業務改善が求められているのでしょうか。まずは建設業で業務改善が必要な理由をご紹介します。
結論としては、2019年に政府が打ち出した「働き方改革」の影響が大きいと考えられます。働き方改革に関連する制度は複数あり、産業や事業規模によって適用時期が異なります。建設業においては、長時間労働への対策として2024年4月1日から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されるのが、大きなインパクトを与える可能性があります。
時間外労働の上限規制によって月の労働時間は原則「45時間」、年間は「360時間」までになります。さらにイレギュラーな事情がある場合でも、月100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に収める必要があります。従来はどれだけ残業しても適切な報酬などを整備すれば法的に問題ありませんでしたが、今後は労働時間の制限の中で効率的に業務を行うことが求められます。
建設業の業務改善における課題
業務改善の実施には、生産性向上やコスト削減、顧客満足度向上、採用力強化などの多くのメリットがあります。一方、建築業界は業務改善を進めづらい業界とされています。例えば、前述した時間外労働の上限規制の適用時期に大多数の産業よりも5年ほど猶予が与えられたのも、建築業界は制度に対応するためにはより多くの課題があり、時間がかかると考えられていたからです。ここでは建築業界において業務改善の妨げとなっている要因を4つご紹介します。
人手不足
建設業界は、深刻な人手不足に直面しています。この問題の背景には、労働人口の減少や高齢化、建設業の需要拡大などがあります。2025年には建設業の労働人口が約90万人不足すると予測されていますが、必要な技能労働者数は333万人から379万人に上ると試算されており、次世代を引き継ぐ人材の確保が求められているのです。
【出典】国土交通省「建設産業の現状と課題」
https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf
長時間労働
建設業はほかの産業に比べて労働時間が長い傾向があります。その原因はさまざまですが、慢性的な人手不足や業務過多、極端に短い工期設定、休日の少なさなどが影響しています。また、建設業は複数の建設会社が連携して工事を進めるため、自社だけで長時間労働の改善に取り組むことが難しいと考えられています。
古くから続く慣習
建設業界には古くから続く慣習や課題も多く、業務改善を進めるには抜本的な見直しが必要な場合があります。ペーパーレス化に対応できていない会社では、各種契約書や見積書、請求書、現場報告書などの紙の書類が大量に発生しています。さらに、やり取りをする会社(元請け、一次、二次請け)や案件ごとに書類を仕分けする必要があり、書類の保管や管理に多くのリソースを割いてしまっています。
重層下請け構造の影響
重層下請け構造では、下請けに「しわ寄せ」が及ぶおそれがあります。下請けの数が増えて重層化するほど、中間マージンが差し引かれるため、下位の下請けが受け取る対価は減少します。また、指揮系統の複雑化によって現場の連絡調整や施工管理も困難になり、生産性が向上するどころか安全管理にも悪影響が及びます。これらは構造上の問題であり、個々の企業努力だけで業務改善するには限界があるといえるでしょう。
建設業の業務改善を進めるための方法
建設業界は慢性的な課題を抱えていますが、働き方改革を実現するためにも業務改善は必要です。以下に、4つの解決手段をご紹介します。
業務プロセスの見直し
まずは現場のヒアリングなどを通じて業務内容を可視化し、既存プロセスの無駄や問題点を洗い出しましょう。代表的な問題点として以下が挙げられます。
・業務の属人化が発生している
・削減可能な作業が存在する
・重複した作業が行われている
業務プロセスの見直しにより、作業効率の向上が期待されます。また、優先順位をつけるためにも、まずは課題を洗い出すことが必要です。
・業務の属人化が発生している
・削減可能な作業が存在する
・重複した作業が行われている
業務プロセスの見直しにより、作業効率の向上が期待されます。また、優先順位をつけるためにも、まずは課題を洗い出すことが必要です。
ITツールの導入
ITやAIロボットなどの新しい技術を活用して、業務効率化やコスト削減を図りましょう。ITツールを導入することで、生産性向上やスキルの平準化などが期待されます。特に建設業の場合、多くの関係者や頻繁な仕様変更などにより、大量の紙の資料が発生します。紙の資料を持ち運ぶ手間、非効率な情報伝達、情報漏えいのリスクなどが懸念されるため、積極的にITツールを導入すべき業界と言えるでしょう。
京セラドキュメントソリューションズが提供しているタブレットとクラウドサービスを活用すれば、上記の懸念が解消されるだけでなく、関係各所とのスムーズな情報共有が可能となります。
業務委託や外注の活用
人手不足を解消するために、業務委託や外注の活用を検討しましょう。外注費用は発生しますが、仕事量の適正化やワークライフバランスの向上に寄与します。国土交通省の「建設業における働き方改革推進のための事例集」によれば、事務作業や安全書類のチェックなどが外部委託されるケースが見られます。
人事制度の整備
人事制度を見直して、若い人材を採用できる体制を整えましょう。DXを進めるためにはITツール導入による業務改善だけでなく、人事制度の変更や採用による組織風土の見直しも必要です。具体的な施策としては、週休2日制や勤怠管理システムの導入、テレワークの推進、評価制度の見直しなどが挙げられます。
建設業における業務改善の実施ポイント
建設業の生産性向上を図る上で業務改善は欠かせませんが、施策の実行には慎重になるべきです。改善活動の過程で発生するリスクを最小限に抑えるため、以下の4つに注意してください。
スモールスタートで拡大していく
いきなり大規模なデジタル化を行おうとせずに、最初は小さな施策から実施することが大切です。スモールスタートにすることで、資金や人材が限られた状態でもスピード感を持って業務改善に取り組むことができます。また、施策で得られた結果をもとにPDCAサイクルを回していくことで、リスクを最小限に抑えつつ、継続的な業務改善が可能となります。
課題の優先度を決めて取り組む
建設業界には取り組むべき課題が多くあるため、すべての課題を同時に解決することはできません。課題の洗い出しを終えたら、それらの費用対効果や実施する難易度などを考慮して、課題に優先順位を付けましょう。なお、施策の効果や難易度を整理する際には、現場あるいは全社員にアンケートを実施する方法が有効です。
法改正や助成金などの最新動向に目を配る
事業者のリスク管理や資金繰りという観点から、法改正や助成金などの最新動向を把握することは重要です。例えば、法改正に関して、2024年4月からは建設業においても残業時間・休日出勤に上限が適用されます。違反した場合には罰則が科されるケースがあるので、残業抑制のマネジメントは必須となります。また、助成金に関しては、ICT導入や労働環境の整備などを行うことで、助成金の交付対象になる可能性があります。いずれにしても法令遵守や支援制度の活用は欠かせないので、常にアンテナを張っておくことが大切です。
施策は実施するだけではなく評価を行う
施策は実施して終わりではなく、評価することが重要です。施策の効果を客観的に測定することで、改善の方向性を確認するための指針となります。取り組みが成功した場合は継続するための仕組みを考え、失敗した場合はKPIや目標の変更も検討しましょう。なお、施策の評価をする際は数値の分析だけでなく、建設現場で働く従業員の声も取り入れることをおすすめします。
建設業の業務改善では自社に合ったソリューションを選ぶことが大切
今回は建設業の課題や業務改善の方法について説明しました。業務改善を進めるためには、業務プロセスの見直しや採用体制の整備はもちろんのこと、ITツールの導入も重要です。特に建設業においては、紙のやり取りが大量に発生することが業務の効率化を妨げているため、早急な対策をおすすめします。京セラドキュメントソリューションズでは、建設業向けに「書類の保管・管理」「紙資料での情報伝達」を効率化するソリューションを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。
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