コラム
2017/04/14
残業削減は介護記録から
介護現場で欠かせない介護記録はスタッフの業務を圧迫しているかも知れません。
介護記録に纏わる業務の現実を正しく把握し、課題を一つ筒解決していくことで業務の改善に繋がります。
残業理由の7割が“介護記録”
人材不足の介護現場では、労働時間についての不満が各職場を悩ませています。全国労働組合総連合の「介護施設で働く労働者のアンケートとヘルパーアンケートの報告書」によると、介護スタッフによるサービス残業の主な業務内容は「利用者のケア」、「ケアの準備・片付け」など本来の利用者へのサービスに直接関わる仕事を抑えて「情報収集・記録」が70.8%と最も多い結果が出たことを皆様はご存知でしょうか。この結果は他の業種で働く人から見たら驚く結果だったのでしょうが、介護現場で働く人にとっては納得のいく結果でしょう。
※全国労働組合総連合 【介護施設で働く労働者のアンケートとヘルパーアンケートの報告書】
参照 http://www.zenroren.gr.jp/jp/kurashi/data/2014/140805_01.pdf
介護現場では利用者へのサービスを組織的に継続して提供していくことや、行った介護の内容を国や利用者の家族、スタッフに証明するため、たくさんの記録が必要でその業務が一日の仕事を圧迫しています。記録には“紙への記入”と“電子データへの入力”の2つの方法が存在し、IT化が進む今日、どちらか一方ではなく併用しているケースが多いと言われています。また、記録の種類はケース記録や介護記録などの「利用者の心身の状態とケアの記録」から「サービスごとの記録」、「業務実行の記録」、「マネジメントの記録」など多岐にわたり、多いところでは20種類を越える施設もあります。
介護保険の請求や、利用者の健康や命に関わる記録について、正確性や誰が書いても理解できる共通性を持たせることが重要ですが、量が多いため1枚1枚に多大な時間をかけていると業務時間は長引きます。その対策として、記録の種類に合わせて施設ごとにチェックリストや記入内容をテンプレート化して使っているケースが一般的です。さらにその先にIT化による業務改革がありますが、急に大きな改革を行うと戸惑うスタッフが多いため、難しいという会社もあるのではないでしょうか。
介護記録の作成業務から見えてくる課題
介護記録に時間がかかる理由は資料作成そのものの物理的な面も勿論ありますが、情報を思い出している時間や整理している時間、更には入力するPCの順番待ちなど、記入以外の時間が長いという理由が存在します。
課題を整理すると、
① 介護記録を作成する環境が不足している、もしくは作成が残業時間に集中してしまう。
② 介護記録を作成するためには、事前に記録を明確に残す必要があり、記入された情報を振り返る、思い出す時間が必要となっている。
③ 記録に基づいた正確な資料を作成する必要がある。
上記のような3つの課題が明らかになります。
これらの課題の解決には、前述のチェックリストや記入内容のテンプレート化と、ITの活用が効果的です。介護記録を作成するスタッフによくある事例集を配布するなど経営者から介護記録の時間を削減するアイデアを出してみる、さらにはIT化について検討してみてはいかがでしょうか。