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急げ医療の環境改善(1)業務効率を促す医療IT最前線

急げ医療の環境改善(1)業務効率を促す医療IT最前線

さまざまな分野でワークスタイルの効率を高めるのに貢献してきたITは、医療の世界においても人々の健康と生命を守るために重要な役割を果たしています。

この医療ITの中核的な存在となるのが、患者さんについての診療情報を一元的に格納・管理する電子カルテシステムです。かつては紙の診療録(カルテ)とレセプトコンピュータを組み合わせる形のみが認められていました。1999年にカルテの電子化が認められ、2001年になって、厚生労働省は電子カルテシステムを、400床以上の病院および全診療所の60%以上に普及させる目標を設定しました。電子カルテシステムの現状について、過去3000件を超える医療機関へのシステム導入の実績がある医療情報システムコンサルタントの大西大輔氏(MICTコンサルティング・代表)は、「500床以上の大病院では、導入率は80%を超えており、大規模病院を中心に普及が進んでいる」と現状を語ります。

寄稿=山口 学
【プロフィール】
14年間のソフトウェア開発エンジニアを経て、その後、IT分野の書籍・雑誌記事執筆とWebコンテンツ制作に携わる。情報処理技術者二種/一種/特種の資格を持つ。

電子カルテ以外でも先端医療ITの開発が進行中

電子カルテシステムの最大の効用は、医療に関わるすべての人が最新の診療情報に同時にアクセスできる点にあります。電子カルテシステムは、放射線科で撮影したX線画像を管理する医用画像情報システム(PACS)や、臨床検査機器で得られたデータと連携できるのはもちろん、入院患者さんについては、入院から退院までの診療経路(クリニカルパス)のデータをナースステーションや病棟と共有できます。

さらに、最新のITを医療に活用しようとする動きも盛んです。例えば、医師が話した内容を、そのまま電子カルテシステムに書き込んでくれる音声入力ソフトウエアがあります。モバイル活用については、タブレット端末などを利用して、医療機関内で情報を共有するための医療専用SNSがすでに登場しています。審査待ちや研究段階にある取り組みとしては、「スマホを使った遠隔医療」「ウェアラブルデバイスで収集したバイタルデータのクラウド保存」「AIによる診断」なども開発が進められています。

医療事務が手作業になる理由

このように診療の最前線でITが業務効率を高める一方で、医療機関でなかなかIT活用が進んでいないケースも見られます。その結果、アナログ部分が残ることで作業効率が思うように高まらず、患者さんの待ち時間が長くなったり、職員の残業時間が増えたりといった課題があらわになってきました。

外部との文書のやり取りが多い場合、持ち込まれる文書はアナログのため、IT化が難しいという業務の性質があります。(地域連携が進めばデジタルデータのやり取りに変わり効率化が図れますが、その進捗は地域差が大きくあるのが現状です。)

例えば、セカンドオピニオンを求めて来院する患者さんは、他の医療機関からの紹介状やX線画像フィルムを持ち込んできます。手術入院が決まった患者さんからは、家族が署名捺印した手術承諾書や入院承諾書を受け取ります。日々の業務に追われている現場では、このような文書やフィルムを電子カルテシステムに取り込むよりも、「これまで通りに紙のままで管理したほうが早い」ということになりがちです。

また、多種多様な紙文書を手作業で取り扱うのが常態となっている理由として、IT機器の操作性が挙げられます。「スキャナーの自動給紙機構に紙が詰まっただけで、IT機器が敬遠されてしまうケースもしばしば」と大西氏は言います。誰もが簡単に操作できるものでないと、ITが医療現場に浸透するのは難しいと指摘します。

さらに、電子カルテへの移行期に特有の“アナログとデジタルの混在管理”の課題もあります。周知のように、医師法に規定されたカルテの保存年数は診療完了後5年。電子カルテシステムを導入してから、少なくとも5年間は紙カルテと電子カルテが共存するため、両者をうまく結び付けて統合的に管理する必要があります。

ペーパーレスで業務効率を高める

そこで今、ITを活用して、業務効率を高める施策が医療機関にとっての重要な課題となっています。医療事務担当者だけでなく、医師、看護師、経営者も喜ぶ仕組みづくりが求められています。目指すところは、ずばり、「紙文書のデジタル化&ペーパーレス化」です。

その際の狙い目として、大西氏は「距離ゼロ」「時間短縮」「場所の縮小」の3つを挙げます。

距離ゼロでは、デジタル化による情報共有でカルテ・検査結果・院内文書などの紙文書を持ち歩く距離をゼロにします。外部からの文書も受け取ったときにすぐスキャンしてしまえば、その後の移動距離はなくなります。

もちろん、そのためには、操作性に優れた文書のデジタル化ツールを選ぶ必要があります。既存文書をまとめてデジタル化するには、文書を連続して一括処理できる情報システムが最適です。

時間を短縮するには、診察室での電子カルテシステムへの入力時間を短縮するのが一番効果的です。「現実問題として、医師が患者さんと話しながらパソコンに入力するのは効率的とはいえない。医師にとっても患者さんにとってもよいことではありません」(大西氏)。音声入力システムを併用したり、医療クラーク(医師事務作業補助者)に電子カルテシステムへ入力させたりすると、入力に要する時間が大幅に短縮できます。

従来の紙文書をデジタル化すれば、カルテ庫の場所もグンと縮小します。電子カルテシステムを導入していれば、5年後には紙のカルテを全廃できるはず。カルテに関わるその他の文書や記録についても、スキャナーでデジタル化した上でカルテに紐づけてデータベースに格納すればよいでしょう。電子署名と時刻認証(タイムスタンプ)を付与するなど、内部統制や法的リスクへの備えも必要です。

IT化によって医療機関の業務効率を高めるには、職員が進んで使いたくなるような環境をつくるとともに、ITを使いこなすためのトレーニングの機会は十分に設けるべきです。さらに、仕事の仕方をデジタル時代に合ったものにする必要もあるでしょう。また、医療事務職員や看護師の多くはスマホに慣れ親しんでいます。情報の入力・表示用の端末として、パソコンの代わりにスマホやタブレットを採用するのもよい考えです。

IT活用をうまく現場に浸透できれば、医療機関の業務効率は格段に高まります。このたび医療機関における紙文書の電子データ化について、その実態および意識調査の結果をまとめたレポートを掲載しました。下記の「お役立ち資料ダウンロード」よりダウンロードいただき、他の医療機関の取り組みも参考にして頂ければと思います。

お役立ち資料ダウンロード

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調査レポート「医療機関における紙文書の電子データ化 」

【調査結果のトピックス】

・紙文書の電子データ化に取り組んでいる病院のうち、現状の電子化の方法や機器に何らかの不満を持っているという回答は43.9%。

・「紙文書管理の電子データ化の仕組みや機器において、実現したいこと、追加でほしい機能・サービス」は、1位は「スキャンの速度向上・一括スキャン 」、2位は「院内のデータベースとの簡易な連携 」

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