導入事例
サステナブルと高付加価値を両立へ。FOREARTHで切り拓く、老舗染色加工メーカーの次なる一手


和歌山染工株式会社
製品・
ソリューション
FOREARTH
- 捺染インクジェットプリンター
- 売上拡大
- 製造
- 100~499名
和歌山染工株式会社は、創業約120年の歴史を持つ染色加工メーカーです。染色・捺染・各種加工を通じて、長年にわたり日本の繊維産業を支えてきました。
一方で近年、価格競争の激化や顧客ニーズの多様化を背景に、染色加工業界を取り巻く環境は大きく変化しています。小ロット・短納期への対応、多素材への適応、そしてサステナブルへの取り組みなど、従来の委託加工を軸としたモデルだけでは応えきれない要望が増えています。
こうした課題に対する新たな一手として同社が導入したのが、捺染インクジェットプリンター「FOREARTH」です。これまで培ってきた独自の加工技術とFOREARTHを掛け合わせ、新たな付加価値の創出と事業領域の拡大に挑戦しています。FOREARTH導入の背景や導入に込めた狙い、そして新ブランド「Skydye」誕生の経緯について、経営層および現場責任者の皆様にお話を伺いました。
組織情報
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業種 |
製造業 |
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所在地 |
和歌山県和歌山市納定32番地 |
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URL |
事例概要
背景
- ・価格競争激化とニーズ多様化により、委託加工中心モデルからの転換が課題
- ・直販ビジネスを本格化し、新たな収益モデルを確立
導入
- ・捺染インクジェットプリンター「FOREARTH」を導入
- ・新ブランド「Skydye」を立ち上げ、直販ビジネスの強化に着手
効果
- ・小ロット・短納期、多素材対応力の向上により提案領域が拡大
- ・サンプル作成のリードタイムを大幅に短縮し、提案スピードが向上
- ・水使用量削減など、サステナブルな価値を具体的に創出
はじめに、FOREARTH導入の意思決定を担われた代表取締役社長の髙垣佳宏様および直販事業部本部長の髙垣知裕様に、導入に至った背景や事業としての狙いについてお話を伺いました。
老舗染色加工メーカーの直販ビジネスへの挑戦

和歌山染工株式会社 代表取締役社長 髙垣佳宏様
まず、御社の事業内容とこれまでの歩みを教えてください。
当社はまもなく創業120年を迎える染色加工メーカーです。これまでは主に、生地を預かって染色やプリント、各種加工を施す委託加工を中心に事業を展開してきました。
綿・麻・絹といった天然素材を中心に、寝装・リビング・アパレル分野の染色加工を手がけてきました。中でも長く主力だったのが、羽毛布団の側地加工です。羽毛の吹き出しを防ぐ目詰め加工と、柔らかな風合いの両立という相反する要件を実現する技術が、当社の強みです。
ただ近年は、海外で染色加工を行い、製品として日本に輸入する流れが主流になり、国内加工を取り巻く価格競争は年々厳しくなっています。
染色加工業界として、どのような課題を感じていますか。
委託加工だけでは十分な利益を確保できない、というのが業界全体の共通認識だと思います。価格競争が激化する中で、従来のビジネスモデルからどう脱却するかが、大きなテーマになっています。
当社ではその課題意識から約10年前より直販ビジネスに取り組み始めました。生地を自ら手配し、自社で加工し、場合によっては縫製品として販売する形です。ここ5年ほどで取り組みが本格化し、現在では売上の1割以上を占めるまでになりました。将来的には2割以上に高めていきたいと考えています。
FOREARTHを導入された狙いを教えてください。
FOREARTHを活用し、受託生産の拡大とともに直販ビジネスの強化を図りたいと考えています。実は反応染料のデジタルプリントには、20年近く前から取り組んできました。当時はまだ一般的ではありませんでしたが、小ロット・短納期への対応は、将来的に必ず重要になると考えていました。
今回導入した顔料タイプの捺染インクジェットプリンター「FOREARTH」は、これまで扱えなかった素材への展開が見込めることが大きな魅力でした。ナイロンやポリエステル、混紡素材など、反応染料では難しかった素材にも対応できるため、提案の幅が大きく広がります。

また、従来以上の短納期対応が可能になる点も魅力的です。従来は蒸しや水洗といった工程が必要でしたが、FOREARTHではプリントと乾燥のみで工程が完了するため、製品完成までのプロセスを大幅に短縮できます。A4サイズ程度のサンプルであれば、従来の約10分の1程度の時間で仕上げることができ、提案スピードの向上にもつながっています。
さらに、FOREARTHで印刷した生地を用いて新ブランド「Skydye」を立ち上げ、直販ビジネスの売上拡大につなげていきたいと考えています。
FOREARTHから生まれた新ブランド「Skydye」

和歌山染工株式会社 直販事業部 本部長 髙垣知裕様
FOREARTH導入で立ち上がった新ブランド「Skydye」について詳しく教えてください。
Skydyeは、当社がこれまで培ってきた前処理・後加工、風合い加工の技術に、FOREARTHを軸とした最先端のデジタル顔料プリントを組み合わせ、その価値を分かりやすく伝えるために立ち上げたブランドです。デジタル顔料プリントの魅力をブランドとして発信したいと考えました。
Skydyeでは、水使用量99.98%の大幅削減※1やCO₂排出量50%超の低減※2、廃棄物の削減といったサステナブルな価値も重視しています。国内ではまだ動きは限定的ですが、ヨーロッパを中心としたサステナブルテキスタイルの流れはいずれ日本にも広がると見込み、先駆けてブランド化しました。さらに、小ロット対応、ナイロンや混紡素材など多素材への高い適応力、そして当社ならではの柔軟加工による風合いづくり——。これらを掛け合わせることで、高付加価値なテキスタイルを提供しています。
※1 下表の染料アナログ捺染と比較した場合
※2 和歌山染工株式会社調べ
表.FOREARTHの工程と水使用量

FOREARTHは水の使用量を限りなくゼロまで削減
※3 Kujanpää , M. & Nors , M. (2014). Environmental performance of future digital textile printing. VTT Technical Research Centre of Finland.VTT Customer Report Vol. VTT CR 04462 14
※4 京セラドキュメントソリューションズ株式会社調べ 2022年
FOREARTH導入にあたって、懸念点はありましたか。
顔料プリントには、「風合いが硬い」「安価な印象がある」といったイメージが業界内に根強くあります。本当に事業として成立するのか、利益が出るのかという点は慎重に検討しました。
ただ、FOREARTHが国内外の有力ブランドで採用されたという事例や、サステナブル志向を持つデザイナーから評価されているという話を聞く中で、「次の時代に必要な技術になるかもしれない」と感じるようになりました。最終的には、具体的な加工事例や収益性の見通しが見え、導入を決断しました。

現場の反応はいかがでしたか。
最初は正直、戸惑いの声もありました。従来は工程が多く、時間がかかる前提で業務が組まれていましたが、FOREARTHによるプリントはスピードが全く違います。そこで、社内資料には大きく「顔料デジタルプリント」と分かる表示を入れました。これは時間勝負の仕事だ、1日単位ではなく時間単位で動かないといけない、そういう意識づけを行っています。一方、製造現場としては、発色工程がなくなることで、色合わせが楽になるという声もありました。

FOREARTHが関わる案件であることが一目で分かるよう、大きく捺印
今後、FOREARTHを活用してどのような展開を考えていますか。
これまで染料デジタルプリントでは十分に取り組めていなかったスポーツ・アウトドア分野、特にユニフォーム分野への提案を強化していく予定です。実際に、サステナブルや短納期を重視する企業からの評価は高く、FOREARTHは今後の事業拡大に欠かせない設備だと考えています。将来的には、素材開発から捺染、縫製までをワンストップで提供し、FOREARTHを核とした新しい価値提供モデルを確立していきたいですね。また、ニットへのプリントも強化できることから、和歌山地区のニット加工業者との連携にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

続いて、FOREARTHの導入を現場で主導した西端伸悦様・山﨑雅則様に、導入時のエピソードや現場で感じている変化についてお話を伺いました。
FOREARTHが変えた現場のものづくり

右 和歌山染工株式会社 プリント部 課長 西端伸悦様
左 和歌山染工株式会社 プリント部 主任 山﨑雅則様
FOREARTH導入の話を最初に聞いたとき、率直にどう感じましたか。
当社はこれまで反応染料が中心で、顔料捺染はあまり注力してこなかった分野でした。だからこそ、「これまでとは違うものを作れるのではないか」「新しいチャレンジができるのではないか」という期待が大きかったです。特に、自社発の新ブランド「Skydye」として展開していくという話を聞いたときは、現場としても非常にやりがいのある取り組みだと感じました。会社として、従来のビジネスモデルからの転換が求められていることは以前から感じていましたので、事業拡大に向けた新たな一歩として、前向きに大きな期待を持って受け止めました。
実際にFOREARTHでプリントしてみて、仕上がりはいかがでしたか。
お客様の中には、「顔料=安かろう悪かろう」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。しかし、FOREARTHで実際にプリントした生地の仕上がりは、そうした従来の「顔料プリント」のイメージとは大きく異なっていました。風合いは柔らかく、「これなら製品として十分通用する」というのが率直な印象です。これまで顔料プリントにありがちだった“バリバリした感じ”はほとんどなく、品質面においても自信を持ってお客様に提案できるレベルだと感じています。

プリントにかかるスピード面での変化はありましたか。
サンプル作成のスピードが大きく向上しました。生地とデータさえあれば、従来のデジタル捺染と比べても、かなり早い段階でサンプルを出すことができます。条件がそろえば、数時間で仕上げることも可能です。アナログ捺染と比べると、その差は歴然です。これまでは時間がかかるのが当たり前でしたが、FOREARTH導入によって工程がシンプルになり、生産効率は飛躍的に向上しました。
サステナブルと新たな価値創出への展望
環境面(サステナブル)の変化を、現場としてどう感じていますか。
水の使用量は、圧倒的に少なくなりました。工程が減ったことで、薬剤の使用量や排水処理にかかる負担も大幅に軽減されています。従来の捺染では避けられなかった「大量の水を使う工程」がなくなり現場としてもその違いをはっきりと実感しています。
さらに、働く側の目線でも大きな変化がありました。機械の周りが汚れにくくなり、工場全体の印象が大きく変わりました。従来の染色工場のイメージとは異なり、クリーンな環境で作業できるため、現場で働く立場としても助かっています。求職者にとっても、「工場のイメージが変わる設備」だと感じてもらえるのではないでしょうか。
最後に、FOREARTHに対する期待と今後の課題を教えてください。
スピード感と環境負荷の低さは、FOREARTHの大きな強みです。従来との違いがが分かりやすいため、企業イメージの向上にもつながると期待しています。一方で課題は、やはり顔料インクのブランディングです。従来の顔料プリントの印象を乗り越えて、どのように価値を伝えていくかは今後の重要なテーマです。だからこそ、現場としてもFOREARTHはまだまだ伸びしろのある設備だと思っています。

導入製品・ソリューション

FOREARTH(フォレアス)
FOREARTHは、水をほとんど使用しない独自技術により、従来の染色工程に比べて環境負荷を大幅に低減する捺染インクジェットプリンターです。高精細で鮮やかな発色を実現しながら、生産の効率化と持続可能なものづくりを両立します。
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